エンドカンナビノイドシステム(ECS)とは?【CBDをさらに理解するために】
CBDについて調べていくと「エンドカンナビノイド」という言葉を目にします。
あまり普段では耳にしない言葉ですが、今回は「エンドカンナビノイド」について説明していきます。
記事の目次
- エンドカンナビノイドって何?
- エンドカンナビノイドとは
- 内因性カンナビノイド
- カンナビノイド受容体
- 内因性カンナビノイド欠乏症になると
- 内因性カンナビノイド欠乏症は病気のサイン!?
- カンナビノイド欠乏症になる要因とは
- 内因性カンナビノイドに有効な成分とは【CBD】
エンドカンナビノイドって何?
エンドカンナビノイドと調べるとどのサイトでも「私たちの身体が生命維持をしていくために必要不可欠なシステム」ということが記載されていますが、具体的にどんな働きや由来があるのか説明していきます。
エンドカンナビノイドとは
エンドカンナビノイドは、人体や多くの生物の体内で自然に生成される化合物を指します。エンドとは「内部の」や「体内の」という意味で、これらの化合物は大麻植物に含まれるカンナビノイドと似た構造や機能を持っていますが、体内で自然に生成されるため「エンドカンナビノイド」と呼ばれています。
内因性カンナビノイド
主要な内因性カンナビノイドは、私たちの体内で作り出される化合物で、主に2種類あります。
- 2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)
- アナンダミド(AEA)
内因性カンナビノイドはオメガ3脂肪酸をはじめとする脂肪酸を助けとして作り出され、エンドカンナビノイド受容体であるCB1とCB2に結合し、さまざまな生理的効果を持ちます。
カンナビノイド受容体
カンナビノイド受容体は、カンナビノイドを取り込むことに特化し、全身あらゆる部分で異なる働きをしています。
- CB1受容体:主に中枢神経系に存在し、大麻の主成分であるTHCが結合することで知られています。この受容体の活性化は、食欲、記憶、気分、疼痛、幸福感などに影響を与えます。
- CB2受容体:免疫細胞や末梢神経に主に存在し、炎症や疼痛の調節に関与します。
内因性カンナビノイド欠乏症になると
エンドカンナビノイドの身体の重要な役割を担っているので、食事、ストレス、運動、病気などのさまざまな外部の要因によって変動することが知られています。現代人にはこのシステムがうまく働いていない状態=多くの健康上の問題や疾患を抱えている可能性があると言われています。(※1
内因性カンナビノイド欠乏症は病気のサイン!?
近年の研究ではさまざまな外的ストレスを感じたり、加齢や老化により内因性カンナビノイドの働きが弱まり、体内でカンナビノイド欠乏症になることでさまざまな症状や疾患の原因になると言われています。
カンナビノイド欠乏症になると、
慢性疼痛・疲労・気分障害・消化器系の問題・睡眠障害・発作など
を引き起こすと考えられ、体内のエンドカンナビノイドのレベルや機能を改善することで、症状や疾患の治療に役立つと考えられています。
カンナビノイド欠乏症になる要因とは
カンナビノイド欠乏症が生じる要因には以下のようなものが考えられます。
- 遺伝:遺伝子の変異や特定の遺伝的要因により、エンドカンナビノイドの合成、輸送、または分解に関与する酵素の活動が変わることが考えられます。
- ストレス:長期的なストレスはエンドカンナビノイドのレベルやECSの機能に影響を与える可能性があります。ストレスが長期間続くと、エンドカンナビノイドの生産や放出が低下することが示唆されています。
- 食生活:不規則な食生活や特定の栄養素の欠乏は、エンドカンナビノイドの合成やECSの機能に影響を与える可能性があります。例えば、オメガ-3脂肪酸の摂取が不足していると、エンドカンナビノイドのバランスが乱れる可能性があるとされています。
- 疾患や病状:特定の疾患や神経系、免疫系に関連するものは、ECSの機能に影響を与えることが知られています。
- 薬物や薬剤の使用:薬物や薬剤はECSの機能に影響を与える可能性があります。一部の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や化学療法薬は、エンドカンナビノイドの活動を減少させる可能性があるとされています。
- 年齢:加齢に伴い、エンドカンナビノイドの合成やECSの機能が低下する可能性が考えられています。
日々の生活でも欠乏症を回避できることもあるので、自分の身体とうまく付き合っていく必要がありそうです。
内因性カンナビノイドに有効な成分とは【CBD】
CBD(カンナビジオール)は、カンナビス植物に含まれる主要なカンナビノイドの一つで、エンドカンナビノイドシステムに作用することで知られています。
理由としては、
CBDには
・エンドカンナビノイドの再取り込みを阻害し、エンドカンナビノイドの活動が促進される
・FAAH酵素(脂肪酸アミドヒドロラーゼ)の活動を低下させ、アナンダミドの濃度が維持される
・CB1およびCB2受容体の活性化で間接的にこれらの受容体の活性化を促進する
・抗炎症・鎮痛作用で疾患や症状の緩和に寄与すると考えられている
などが総合的に作用することで、てんかん・統合失調症・不安症・リウマチ・糖尿病・アルコール依存症・高血圧・子宮内膜症などにも影響を与える可能性があると言われています。
ただし、CBDの使用に関する研究はまだ初期段階にあり、安全性や適切な投与量、治療効果についての詳細は確立されていません。そのためCBDの使用を検討する際には医師や専門家と相談することが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。CBDだけでなくカンナビノイドについての研究はまだ初期段階にあり、明確な理論がありません。しかし、カンナビノイドやCBDは神経回路にアプローチできる最先端の成分と言っていいのではないのでしょうか。
カンナビノイド欠乏症で苦しむこともおそらく現代人のライフスタイルの問題が考えられます。
生活習慣の見直しだけでなく、心身の不調へアプローチできる環境や手段を見つけておくといいかもしれません。
参考文献
(※1 一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会 内因性カンナビノイド系
(※ Smith, S. C., & Wagner, M. S. (2014). Clinical endocannabinoid deficiency (CECD) revisited: can this concept explain the therapeutic benefits of cannabis in migraine, fibromyalgia, irritable bowel syndrome and other treatment-resistant conditions? Neuro Endocrinology Letters, 35(3), 198-201.
(※ Pacher, P., Bátkai, S., & Kunos, G. (2006). The endocannabinoid system as an emerging target of pharmacotherapy. Pharmacological reviews, 58(3), 389-462.